賢三は話し終えると、 また一口、白湯を飲んだ。 「でも、この絵を見たんだから、 村上さんの気持ちは 奥様に伝わったと思うけど…」 「そうだといいんじゃが…」 賢三はうつむいた顔を上げると、 励ましてくれる留美を見て、 無理にでも微笑んでみせた。 留美も賢三の心中を察して しばらく黙ったまま 賢三を温かく見守った。 ・