「これを観るのは一年ぶりじゃ。 この絵は約束を果たす為に 描いたんじゃよ」 賢三は絵を眺めながら、 思い出すように話し出した。 「わしは約束を守れる筈じゃった 春江には苦労をかけたが、 あいつは本当に献身的にわしに 尽くしてくれた。 わしはがむしゃらに働いた。 春江は仕事一筋の わしがすることに 何一つ文句を言わなかった。 授かった二人の子供も 立派に育ててくれた。 わしにはこれ以上の幸せは なかった… 感謝の念しかなかったんじゃ。 ・