恭一がベンチに腰を降ろすと、 留美が見つからない焦燥感と共に 捜しに行った先々での 思い出が蘇って 恭一の心を締め付ける。 (あの時はひどい喧嘩だったな) (あそこの焼き鳥は、 留美のお気に入りだった) (あいつ、初めてのバーで カシスばかり飲んでたな) (映画の評論は毎回割れたっけ) 恭一はあれこれ思い出した記憶に ハッとする。 留美と過ごした3年間 その記憶の中に必ずいるのは、 笑顔の恭一だった。 ・