病室に着くまでの間、 看護士は賢三と春江のことを 話してくれた。 「春江さんは、 交通事故に遭って、 病院に運ばれてきたとき、 意識不明の重体でね。 車との接触は軽かったんだけど その時ひっくり返ってしまって 打ち所が悪かったらしいのね。 で、村上さんは知らせを聞くと すぐに飛んできたわ。 病院に着いた直後は、 顔面蒼白で ものすごい形相だった。 付き添いの人も躊躇するほどね。 先生や私達が止めるほど 眠っている春江さんを 揺り動かしては叫ぶように 呼び掛けていたわ。 ・