(……っ!?)
(不倫!?…)
(奈々が?…まさか…)
恭一は耳を疑った。
「不倫…って…」
秘密を告白した奈々子は、
はにかんだ作り笑いをして、
「ビックリしたでしょ?」
と訊いてくる。
恭一は頷くこともできず
目を見開いたままだ。
当然とも言える恭一の反応に
菜々子は凛として背筋を張った。
微動だにしない恭一に
これ以上傷口を広げないようにと
奈々子は心境と事情を赤裸々に
語りだした。
だが恭一の心中は収まるどころか
まだ整理し始めてもいない。
〔不倫〕という二文字だけが
頭の中を駆け回っていた。
・

