ひとしきり喋っていた奈々子が
伏し目勝ちな恭一と
目を合ったのを見逃さず、
「恭くんは?…どう?
…彼女とかできた?」
と〔本題〕に入った。
その目は興味津々と言うよりは
何か詮索するかのような鋭い目を
している。
恭一は一瞬たじろいで
言葉を詰まらせながらも
「ん?…俺?…
まぁ、一応……な」
と照れくさそうに答えた。
奈々子は一瞬視線を反らしたが、
「一応…って何よ。一応って…
彼女さんに失礼じゃない」
と言って、恭一を一喝した。
だが、その微妙な間と声が
無理に気を張っているようにも
思える。
恭一は無駄口は叩くまいと
苦笑いで誤魔化すと
後は黙ってコーヒーを口に含んだ。
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