野に咲く一輪の花の如く


えっ? もしかして……建物が傾いて、ドアが開かないの?

ドアの前で呆然となった。



万が一、空き巣に入られてもいいように、以前から貴重品は常に持ち歩いていたから、部屋に入れなくても大丈夫だけど……。



もう一度ドアを引っ張ってみたけど、やっぱり動かない。



……もしかしたら、このまま大きな余震が来たら、建物が崩れてしまうかもしれない。

そしたら、もう二度と……この部屋の中には入れないかもしれない。



そう思った瞬間、頭の中にこの部屋で過ごした進との日々が浮かんできた。