「今度来る時は、孫の顔でも見せてくれ。その頃には、この辺も少しは住みやすくなっているだろうから」



伊藤さんのその言葉には、少し先の未来への希望が感じられた。



今はまだ以前と同じ生活すら出来ないけど、数年後、数十年後には……。



「その時には孫に泣かれないように、優しいおじいちゃんで居て下さいね」



私のその言葉に、伊藤さんは苦笑いを浮かべた。