「まず上がれ……話はその後だ」 伊藤さんはそう小さく言うと、さっきまで私と進が居た1階の茶の間に向かった。 息子さんを見ると、何か察したのか眉間にシワを寄せて、辛そうな表情をしていた。 これからお互いがどんな気持ちで話したり聞いたりするのかと思うと、私は当事者じゃないのに胸が苦しくなった。 私は進に会えた奇跡に、感謝しなければいけない。 ギュッ えっ? 急に進が私の手を握った。