「回復した俺を追い出そうとしていて、最初は迷惑かけたから早く出て行こうと思ったんだけど、話をしていたらポロッと言ったんだ……『あんたが居ると死ぬに死ねない』って……それで俺は車も失ってすぐに帰れないし、しばらくここに残る事にした」
進らしい……そう思った。
きっと、自分の命を助けてくれた恩人が、生きる希望を失ってる姿を見て、なんとか力になりたい……そう思ったんだよね。
「俺だって不安だったよ、未来が無事かも分からず……未来が津波に飲み込まれる夢を見て、気が狂いそうだった。……だけど……目の前で大切な人を失った伊藤さんを、ほっとけなかったんだ」
進はそう言った後、今度は私の方を見て、いつもの優しい微笑みで私の頭を何度も撫でた。
「『あんたには待っている人が居るだろう? 俺にはもう居ない。あんたは待っている人の所へ帰るんだ』って言われて、『俺にも待っている人は居ません。車が無くて家に戻れないから、しばらくお世話になります』ってとっさに言ってしまったんだ……ごめんな、未来」

