野に咲く一輪の花の如く


「俺と別れた後、2人で下のスーパーへ車で買い物へ行ったらしい。ここの高台のお店よりも海沿いのスーパーの品揃いが多くて、そっちで買い物する事が多いらしいんだ」



確かに、ここの高台の住宅地から、何ヶ所か徒歩で下りられる階段や散策路のようなものがあった。



「スーパーについてから、買い替える予定だった台所の蛍光灯のサンプルを、持って来るのを忘れた事に気付いて……奥さんが他の買い物を見ている間、家に取りに戻ったところで、地震が発生したんだ」



沿岸部の人達は、子供の頃から『グラッときたら高台へ逃げろ』と教えられる位、津波に対する意識が強いと以前聞いた事がある。

自分は高台に居て、奥さんは海沿いに居た……きっと『迎えに行かなくちゃ』と思った筈。