野に咲く一輪の花の如く


言葉が出なかった。

でも、涙は溢れて止まらなかった。



もう二度と触れられないかもしれない……そんな不安が、やっぱり何処かに残っていたのかもしれない。



もう離れたくない!

私は進の服を、ギュッと掴んだ。



「心配かけて、ごめんな? 帰りたくても交通手段がなくて、携帯も水没して使えなくなって連絡できなかったんだ」

進の腕の中で、私は首を左右に振った。



今はもう、なんだっていい。

こうして生きて会えたから……。



「公衆の面前でラブシーンしてないで、家の中へ入りなさい」



えっ?

私は声のした方を見た。