“闇の騎士(ダーク・ナイト)"

「さて…、欲しい物も手に入れたことだ。僕はそろそろ失礼させていただく」
 
 暗がりの中で、彼は確かにそう言っていた・・・・・・。

「アダム・クラーク伯爵の屋敷の地下で、あなたは一体何を手に入れたというの…?」
メリアは、空っぽになってしまったジョウロを手にしたまま、ぽつりと小さく呟いた。

 パトリックとエドマンドの二人からデイ・ルイス侯爵の真実を聞かされてからというもの、闇の騎士(ダーク・ナイト)に対する謎は更に深まってしまった。
 彼がアダム・クラーク男爵の屋敷から盗み出した物とは何なのか? 
 そして、彼はデイ・ルイス侯爵の件に関わりがあるのか?
 彼は一体何者なのか・・・・・・?? 



「メリア!! すぐに僕の部屋へ来てくれないか!!」
 
 パトリックが二階の私室の窓から手を振っている。
 何やら楽しげな話では無いらしい。パトリックの表情にはいつもの柔らかい笑みは見られない。

「わかりました、すぐに参ります!!」

 メリアは慌てて彼の部屋へ向かった。
 只ならぬ予感を抱えながら・・・・・・。