【続編】長男のカゴ

部屋を飛び出し、流れ出した涙を拭いながら走った。



「おっと…岩崎様?」

「近野さっ…」

「いかがなさいました!?」

「何でもないですっ…。善…まだ熱あるから…よろしくお願いします!!」

「ちょっ、岩崎様!?」



こんなとこ場違いだ。



あたしがいていいとこじゃないっ…。



もう…どんな顔で善に会えばいいのかわからないよっ…。



S科寮を出て向かったのは自分の部屋。



いっぱい泣きたい。



泣いたらきっと吹っ切れるから…。



そしたらまたあそこで笑えるはずだからっ…。



「ふぇっ…うぁぁぁぁん!!」



こんなに痛いなら善なんて好きにならなきゃよかった…。



恋なんて知らない方がよかったよっ…。



サボってしまった授業。



泣いて、泣いて、泣き疲れて。



眠ってもちゃんと寝付けなくて…。



夕食も食べず、ひたすら眠るか泣くか。



振られた事実しか考えられなくて、きっと一生分泣いた。