涙が止まった頃、善がカラダを離した。



横にあったイスに座り、髪を撫でる…。



「別れる?」

「別れ…ないよ…」

「浮気はしてねぇけど、ナルとは昔に…」

「あたしと出会う前のことでは妬かない…。なんでもいいから…そばにいてよ…」

「うん、うん…ごめんな…」

「あたしのこと…捨てないで…」

「逆だろ。お前が俺のこと捨てないでって感じ」



久しぶりに胸がキュンとした。



嬉しくて、冷たかった心にホワッと暖かいもの。



「怜の大切さ、今まででいちばん実感した」

「勉強代ってとこだね」

「思いっ切り抱きしめてぇ…」

「あたし帰っていいのかな?」

「点滴終わったらな。で、病院少し通えってさ」

「何で!?」

「お前のカラダに栄養が足りてない」

「最悪…。善のせいだからね」

「だから、俺が怜に弁当作ることにした」

「ははっ、楽しみだ」

「やっと笑顔見れた…」

「責任とって離さないでね…」

「お前しか見ねぇよ。この先ずっと…」



暖かい気持ちで、もう少し眠ろう…。