あたしから目を反らし、ため息をついた後にドアを大きく開けた。



中には秘書らしき人…。



善に腕を引かれてソファーに座って。



「ナル、俺とお前は何にもしてねぇよな?」

「先輩はあたしを疑うんですね」

「だって俺、あの日酒なんか飲んでねぇもん」

「それはどうして言い切れるんです?」

「学園に戻って、俺がどれほど弱いのかってのを実証してみた。気づきもしねぇ程弱い酒で、記憶なくすような体質じゃねぇよ」



記憶がないって言ってたのは本当だったんだ…。



それにしても強気なコ…。



「1回目は近野が俺に黙って飲ませた。でも信じらんねぇから自分で飲んでみたよ。強めの酒でも全く酔わなかった」

「それは証拠になりません」

「どうしてだ?」

「あの日のことはあたしが覚えてますから。先輩の癖だってね」

「そりゃあ知ってて当たり前だよな?昔、お前と関係持ったんだろ?顔とか変わりすぎてて気づかなかったけど。中学ん時だよな?その時の名前は…荒井だったか」



えっ…?