それに、雪村の母親は生きてんじゃん…。



俺は本当の両親の顔さえ知らないのに。



「二十歳にもなってなにやってんだ。アホかテメーは」

「…………」

「お前が迷ってんなら、俺も一緒に考えてやるから。情なんかこれっぽっちもわかねぇけどな」

「なら構うなよ!!」

「構って欲しいから善にいろいろやったんだろ?お前は雪村家の跡継ぎでもねぇしな。自分にはなにもねぇとか思ってんじゃねぇの?」

「だったら…なんだよ…」

「学園やめて俺んとこに来い。立派に教育し直してやる」



黙った雪村。



それは雪村を藤間に入れるって意味か?



「雷っ!!俺は反対だからっ!!」

「善は黙っとけ。なにも養子にするって言ってるわけじゃねぇ。実践で鍛えてやるって意味だ」

「何の義理があんだよ!!」

「だったら俺がお前にかけた義理はなんだ?お前がガキだったこと以外、こいつと立場はかわんねぇよ」



そう言われてしまえば返す言葉がない。



俺を拾ってくれたのは雷だし…。