【善】



いつものスーツ、いつものクールな感じ。



あっ、白髪発見…。



言ったら怒られるから黙っておこう…。



「申し訳ないがDNA鑑定をした」

「は…?」

「兄弟らしいな、俺たち」



やっぱりか…。



どんだけ腹違いの兄弟いりゃあ気が済むんだよ。



静かな室内で、雷の言葉が響いた。



俺、雷、雪村と、さんにんしかいない空間。



雪村と雷は初対面だ。



「お前はどうやって知った?俺たちが兄弟だって」

「昔から母親が言ってたし。氷流って男が父親で、俺の上に歳の離れた兄貴がいるって。それに弟も」

「話だけでわかんのか?」

「こいつが転校してきた時に俺の秘書がいろいろ調べたらこいつの旧姓が氷流だったから」



そうだったのか…。



俺がここに来なきゃ雪村は気づかなかったのか…。



「お前は何がしたいのかわかってねぇんだな」

「知ったようなこと言うな」

「善を恨むのは筋違いだぞ」



そうだ!!



俺はただ生まれちゃっただけだ。