【続編】長男のカゴ

雪村がどれほどのヤツかわからないから。



もし、俺と雪村が対立したら?



もし、雪村の家が藤間に害を与えたら?



俺は雷に顔向けできない。



だからS科で揉めることはタブー。



だけどムカつくもんはムカつくんだ。



「雪村~、入っていい?」

「善君?今開ける~」



来ちゃったじゃねぇか。



何のため?



ってか…どうする気?



全くの考えナシ。



「めっずらし~」

「ん~と…ちょっと話し、いい?」

「どうぞ~」



雪村の態度に動揺の文字はない。



いつも余裕の顔して…。



マジでムカつく…。



雪村の部屋はモノが少ない。



テーブルに置いてある灰皿には消したタバコの吸い殻。



飲み終わったふたつのコーヒーカップ…。



「あぁ、俺が吸ったんじゃないよ」

「じゃあ誰が…?」

「俺の秘書~」



秘書が仕えてるヤツの部屋でタバコ吸う?



どんな関係だよ。



俺と近野の関係ならあり得ない…。