【続編】長男のカゴ

古谷の家のメイドさんやシェフがいて、至れり尽くせり。



ここではそれぞれ、やりたいことをやってゆっくり過ごす。



「怜、散歩行こうか」

「いいね。道に迷わないようにしなきゃ」



自然に囲まれた道。



外に出ると善に手を差し出された。



「繋ぐの…?」

「繋がねぇの?」

「初めてじゃない…?」

「そういやデートもしたことねぇもんな」



そうだ。



あたし、善とデートしたことない!!



コレ、初デート?



「楽しくなってきた…」

「そりゃよかった。地図見ると近くに川あって、キャンプ場もあるらしい」

「泳げる川なのかな?」

「行ってみっか。そんなに距離はなさそうだし」



善と手をつなぎ、知らない土地をふたりで歩く。



交わすのはどうでもいい言葉なのに、それすら嬉しくて新鮮で。



一緒にいるだけでこんなにワクワクしたり、こんなに楽しいのはきっとあたしが善を好きな証拠。



「自販機発見。暑いから水分取っとこうか」

「あたしお茶」

「じゃんけんで勝った方がカッコよく奢るってことで」



よし、絶対負ける!!