【善】



小さな頃、父の日にこんな作文を書いた。



『僕のお父さんは世界でいちばんカッコイイ』



その気持ちは変わらない。



厳しくて、仕事には真面目。



口は悪いけど、かなり子煩悩。



休みの日は遊び相手になってくれるし、比較的字がキレイなのも父のおかげ。



でも俺は実の子じゃない。



本当は俺の兄貴。



実の父が死んで、腹違いの兄貴が引き取ってくれた。



本当の子供みたいに育てられ、そろそろ俺の決断の時期。



自分から同じ姓を名乗りたいと言うまで、俺は名字が違う。



答えを出すのはいつでもいいと言ってくれて数年考えた。



「雷(ライ)、俺も藤間(トウマ)の姓に入りたい」

「理由は?」

「結局気まぐれ。だって雷、どう見ても歳的にも親だし」

「ははっ!!わかった」



こうして俺、今日から藤間 善(トウマ ゼン)名乗らせていただきますっ!!



でも俺なりに考えた結果だし。



やっぱり親は育ててくれた親しかいないっしょ!!