亜実と2人でいるのもなんだから、俺も亜実を送ることにした。 少し沈黙が続く。 こんな時、前なら何を話していたんだろう。 『―――――寒いね』 先に口を開いたのは亜実のほうだった。 「春だけど……やっぱ風は冷てーよな」 思ったことを、まんま言った。 たわいもない会話ってやつだ。 少し、歩いて。 『―――――手…………あたためてよ』 自分の耳を疑うような言葉だった。 今、なんて――――――