家とは違う方向へ向かっていく姿を見かけた。 そして、この屈託のない純粋な笑顔。 そうか。 あいつのところへ、行くんだな。 妙に察しがいい自分が少し恐く感じられた。 でもなんとなくあいつの話しを出すのは気まずい気がした。 いやむしろ、俺があいつの話しをするのが嫌なだけかもしれない。 幸せそうな、亜実を見るのが嫌なのかもしれない。 だから。 「そっか、気を付けろよ」 とだけ言った。