そうは思っても。 現実は憎いほど残酷なものなんだ。 クラスが、一緒。それだけで、考えてしまう。 亜実のことばかりを。 『亜実、今日はうち部活ないし、駅前のケーキバイキング行くよ!』 『ごめんね、今日は和真と帰るの』 『はあ~、うらやましいわ!……うわさをすれば、なんとやらだよ!』 亜実も唯も利樹も、俺も。 ドアのほうを見ると、あいつがいた。 『ごめんね。亜実、借ります。じゃっ』 『あっ、えっ、唯、ばいばい!』 あいつに手を引かれて歩く亜実。 見たくない。