『―――――落ち着いたか?』 そう言って、俺に差し出したホテルブレンド。 俺は、活田の淹れる紅茶が好きになった。 精神的にももちろん落ち着く。 なにより、こんないい歳した大人の男が、器用な手つきで紅茶を淹れる姿が。 その真剣な姿が、どこかうらやましかったからであった。 「ありがとう」 『これは、俺特製でな。カフェを経営している知り合いに茶葉をもらい、自分で炒っているんだよ』 …………だからか。 市販と違うのは。 なんとなくだけど。優しい味がしたんだ。 活田の、優しさか。