だから、連れ去られる時もわからなかったんだ。

「そんな不安がんな。」

さっきまでの低い声とは違う、優しい声が聞こえた。

「ヒサ・・・・?」

「ここにはシンも来ねぇ。だから安心しろ。」

「・・・・。うん」

「わかったらゆっくり寝てろ。」

未だに優しく頭をなでるヒサ。

それが妙に心地いい。

だんだんと瞼が重くなってくる。

あ、ヒサにも明日のこと言わなくちゃ・・。

「ひ・・・・さ・・・・。」

「ん?」

「あし・・た・・海・・・行きたい。」

あまりの眠たさに呂律がうまく回らない。