「そんなもんじゃないよ。ルイ。」

「え?じゃあどうして・・・」

ルイが少し困惑した様子であたしを見つめる。

気が付けばみんながあたしを見ていた。

本当のことを言うべきなのだろうか。この、今会ったばかりの人たちに。あたしは迷惑をかけるつもりか?

「あたしが、向こうにいたのは知ってたんだ?」

「知ってなきゃ拉致らねぇ。」

ヒサが疑うような瞳を向ける。

「そ、そうだよね。」

とりあえず、会話をつづけなきゃ。

でないとあたしはこの人たちに頼ってしまう。

今だって、“あたしを助けて”大声でそう言いたかった。

だけど、あたしの口は。

「Zeusの副総長あたしのお兄ちゃんなんだ。」

嘘じゃない。本当のこと。でも、あたしが言いたかったことはこのことじゃない。