昔から、嘘をつくのは得意だった。



愛嬌のある子だと…



みんなからチヤホヤされ育った。



物心ついた時にはすでに、笑顔で嘘をつく事なんて朝飯前。



そんな自分は嫌いではなかったし、むしろ好きでもあった。



本音を隠してニコニコしていれば、周りも大人しく自分の言う事を聞いてくれる。



だから…


一葉に出会ったあの日


君の存在が、とても不思議だった。



親に連れられて行ったその場所は、普通の一軒家。



いつものクセで、周りを見渡して…


状況を把握しようとしていた俺の目に、無邪気に笑って母親に縋る女の子が飛び込んできた。