「アイツの彼女、俺らより2つ年上。――わかってるよな?」


 それはきっと、話し方のことだろう。

 聞かれないか限り、こちらから余計なことを言わないのは大前提。だから言われるとしたら、先輩の時にも言われたこれしかない。


「……敬語、だよね?」

「お、わかってんじゃん。少しは学習したんだな」


 ふっと笑みを見せたかと思うと、カレは慣れた様子で私を抱え、ベッドへ場所を移動する。


「今週は日曜まで会えないし、やっとくか」


 なに、それ……。


 やっとくかって、そういうノリでやるものじゃあ。

 上に覆いかぶさられ、二人の重みでギシッとベッドが音をたてる。





 ……いやっ、だ。





 頭に過った途端、ピキッと、何かが壊れるような音がした。


「嫌なの? 言いたいことがあるなら言えよ」

「……、だ」

「聞こえない。もっと大きな声出せよ。やってる時みたいにさぁ」


 そっと頬に触れる手が、このうえなく嫌で。

 母親に触れられた時のような、逃げ出したい感覚が体を駆け巡った。


「……い、やだ」

「したくないのか? だったら――あの写真、投稿してみるか?」


 投稿って……あの写真を!?

 一気に血の気が失せ、私はカレを凝視した。


「人気者になるかもな。現役女子大生の裸だし」

「そん、なの……だ、誰にも見せないって、約束したじゃないっ!」


 カレの腕を掴み、声を荒げた。

 そんな様子を見ても、カレはいつもと変わりない。



 ! もしかして……これ。



 また、冗談なんじゃないかと、そんな考えが浮かぶ。

 私が受け流せるか、試してるの、かな。