ダメ、だ……。

 こんなんじゃまた私っ!





 不安を察知されないよう、視線が合えば、笑顔を向ける。それにカレが何か言うわけじゃないけど、一緒にいて楽しいという雰囲気を出すようにした。

 空気は重く感じるけど、好きなカレといられる。だから今は楽しいんだって、自分に言い聞かせた。


「――今度、弟に会わせるから」


 映画が終わると、カレはぽつり、そんな言葉を口にした。


「弟って……」

「お前と同い年。アイツ、今一人暮らししてるんだよ」


 今まで、ここに来るのも半年以上かかったのに。まさか、カレからそんな提案をされるなんて思ってもみなかった。


「いい、の? 弟さんに会っても」

「アイツも見たいって言ってたからな。それに――」


 手を差し伸べてきたかと思ったら、体はすっと引き寄せられ、私はカレの腕の中にいた。


「もう一年になるんだから、いい頃だと思ってな」


 そう言って、カレは唇を重ねてきた。

 さっきまで、重い空気がしてたのに……。

 久々の口付けにとろけていると、耳元で、カレが囁く。


「だからさ――今日は、まだいいだろう?」


 言われて、視線を時計へ移す。もう十時を回っていて、明日のことを考えると、帰った方がいい時間だった。


「なぁ……いいだろう?」

「でも……明日、学校で寝ちゃいそうで」

「んなもん、寝ても問題ねーって」

「だ、だけどっ?!」


 反論なんて許されることなく。再び、唇を重ねられていた。

 初めは抗っていたものの、次第に、カレから触れられた部分が熱を持ち始めて――ドアの向こうからおばさんの声が聞こえても、カレの行為は止まらなかった。

 ひとしきりキスをすると、次は首、鎖骨と移動しながら、上着とブラがずらされた。露になった胸元。顔を埋めたと思えば、それまでの行為は遊びだったかのように、右胸は強く掴まれ、左胸はカレの口で弄ばれていった。


「ッ!!、、、ぁう…んん」


 激しさを増していく行為。声がもれないよう我慢しても、完全に声を消すことができないほど。押し寄せる快楽に罪悪感がわくのに……カレが求めるまま、身を任せてしまった。