(一) 中尉の階級において、彼女に一軍を任せるほど、軍内は甘くはなかったが、彼女は確かに、数多のモノよりも一つ先を抜いていたのは誰もが認めていた。 「進めえぇぇ!」 雨を降らせそうな、曇天に響く彼女の声は、仲間に響いた。 女なんかにと思うものもいるに違いないが、彼女は臆することなく突き進む。 進めと言ったが、仲間がついてきているかは知らない。後ろを顧みるならば、前の敵を刺すのが賢明な判断と言えよう。 ――戦争だった。 どちらが仕掛けたか分からない、“国の行事”。