葵くんはこの音が聞こえる近さにいたため……、


「……千里さん??」


私は体をビクッとさせた。

足音が近づいてくる。


私は体育座りしていたため、膝のところに顔を埋めた。


泣いた顔を、見せたくない。

泣いたって、気づかれたくない。


足音が間近で止まる。


「千里さん!!」


葵くんの声が聞こえたと思ったら、葵くんの少し甘い香りに包まれた。