「……っ、」


私は無意識のうちに、
葵くんがいる場所とは反対の方向に走り出していた。


「千里さん!!」


後ろで微かな声が聞こえた気がしたけど、私は立ち止まらずに走り続けた。


「っはぁ、はぁ……。」


私は力尽きて、
だだっ広い屋上の駐車場の端っこで、座り込んだ。


今日は日曜日ってこともあって、車は満車。


もし追いかけられたとしても、ここなら見つからない。