「……。」


葵くんは驚いた顔で私を見る。

私は、自分でしたことに恥ずかしくなって、赤くなる頬を隠そうと俯いた。


「千里さん、」

「ん?」


顔を上げずに返事をする。


「何で頬なんですか??」

「えッ??」

「キース。」


思わず顔を上げると、
ニヤッと笑っている葵くんが見えた。


「何でって……、」


葵くん、そっぽを向いてたし……。


「俺、唇がよかったなぁー。」


その言葉を、私の頬が一瞬にして真っ赤になる。