私は綾から携帯を奪い返して、耳に当てた。


「私は、大丈夫だから。
来週の試合、頑張ってね。」

“千里さ……、”

「またね。」


私は終話ボタンを押した。


「千里、言わないつもり??」

「葵くん、来週、どうしても負けられない試合があるの。」


全国が懸かってる、大事な試合。


「だからって……!!」

「だからせめて、来週まで黙っておきたかった……。」


『……。』