「んッ……ふ、」


千里さんの甘い声が、
耳に響く。


暫くすると、俺の学ランの袖を引っ張る千里さん。

“苦しい”の合図。


俺はゆっくり唇を離した。


肩で息をしながら、俺に寄りかかる千里さん。


「ごめん。苦しかったよね。」


そう言って、千里さんの頭をポンポンと撫でると、千里さんは俺を見上げてフワッと笑ってから、


「ううん。
……葵くん、好きよ。」


俺から大きい瞳を反らさずに、そう言ってくれた。