キミは必死に飛んでフランを

追いかけ、町についた。


フランは町の病院の前に

立ち尽くし、静かに涙を

流していた。


『フラン』


キミはそっと近付いてフランの

肩にちょこんと腰かけた。


「……一人に…してよ」


フランは涙を拭いながら言う。


『泣かせちゃってごめんね。

……フランのお母さんは……』


キミは涙をこらえて謝った。


「……死んだわ。

優しいお母さんだった」


フランは泣いて

素直になったのか

ぽつりぽつりと語った。


『寂しかったね。

ずっと一人だったの?』


キミは泣かせてしまう覚悟で

問いかけた。


「一人で……一人で生きた方が

マシだったわ。

……信じてたのに

……二人とも憎い」


フランは泣き崩れた。


『憎くなるほど

信頼してたんだね』


キミはフランの頭を

優しく撫でた。



「信じてる人に裏切られるのは

何よりの哀しみよね」



突然キミは瞳の色を失い

そう呟いた。


その声は人間の時の

キミの声だった。