バイオリニストは頭に浮かんだ

メロディーを奏でていた。


タイトルは「孤独」。


イ短調の寂しい曲だ。



―ドはどんな状況でも

決して明るさを忘れない子

レは自立した子だから

周りに惑わされない

ミは明るくもなれば

悲しくもなる感情に波がある子

ファは個性的で掴みにくいけど

使い方によれば輝ける子

ソはどこか遠くを

見ているようなおとなしめな子

ラはせつなくて悲しいけど

痛みを知ってる分

癒すことができる大人びた子

シは一生懸命に前向きに

生きてる子



彼女にとって音はパートナー。


彼女のパートナー達は

彼女の影響を受けやすい。


いつもは大勢の人を

感動させたり癒したりできるが

今は彼女と共に日に日に

落ち込んでいくだけである。


どれくらい旅をしたのだろうか?


行けども行けども石像ばかり。


旅をするのに疲れてきた。


爵位こそないが、世界的に

有名なピアニストと

ソプラノ歌手を両親に持つ

金持ちの娘は

自炊などしたこともなく

ろくに何も口にしていなかった。