「ついてきて」


オレは、はしごを下りていく。


ミルはオレのいう通りに

はしごを下りてきた。


ミルは花畑を見て


「うわぁ!すごい!綺麗!」


子供みたいに大興奮した。


……今でもあの時の

かわいいお前の顔覚えてるよ。


「……散歩してたら偶然

見つけたんだ。

はしごと扉はオレがつけた」


オレは嘘をついた。


お前を喜ばせたくて作ったなんて

恥ずかしくて言えない。


「すごい!ジオ!

わたし、こんな素敵なとこに

来たの初めて!」


ミルの興奮はしばらく

おさまらなかった。


あの笑顔を見た時、

2年間の努力と苦労も

無駄じゃなかったって思えたよ。


「……ここはオレの

秘密の場所なんだ。……だから」


「絶対言わない!約束する!」

ミルはオレの言葉を

遮って言った。


オレ達はお互いのことを

少しずつ話した。


学校のこと、好きなもののこと

将来は実家の鍵屋を継ぐとか

そんな他愛もない話

でも話したことのない話を

たくさんした。


花畑を出ると外は夕闇に

包まれていた。