「ひゃっ!」


突風の威力でトランクから

投げ出される。


「【飛】!」


とっさに自分に魔法をかけて

宙に浮く。


空を飛び、ポットとカップ、

パンを空中でキャッチする。


(……ふぅ。……今の風は何?

……自然の生み出した風

じゃないわね。

……魔力を感じる)


そう思いながら

トランクに再び腰かけ、

近くにあった町に降り立った。


「………」


魔法使いは町の有り様を見て

言葉を失った。


(……何これ?魔術師の仕業?

おそらくさっきの突風がそうね。

風に吹かれると石になる……

じゃあ、私はなんで

石にならなかったの?

同じ魔力を持つ人間だから?)


彼女は町に溢れかえる

石像を見て、思考を巡らせた。

町の中を探索してまわると

面白い事がわかった。


(人間以外は石にならないのね)

石になったのは人間だけで

植物も動物も食糧も

そのままである。


魔法使いフランに

悪知恵が働いた。