ジオは葡萄を一粒ちぎって

キミに渡し

自分も一粒ちぎって頬張った。


「うまい!」


ジオも空腹を感じていたので

いつも以上に葡萄が

美味しく感じる。


『本当美味しい!

キミ3日ぶりの食事』


キミは葡萄の一粒に抱きついて

小さい口で何度もかぶり付き、

少しずつだが確実に

葡萄をたいらげている。


彼女が食べた分が

眠りについてしまった本体に

栄養を補給する。



葡萄を食べ終わると

ジオは立ち上がった。


キミはジオの胸ポケットに

再び入る。


突如、二人の行く手を

阻むかのように

強い突風が吹いた。


ジオの体はたまらずよろめく。


「すごい風だったな。

大丈夫か?」


風が止むとジオは

キミが飛ばされていないか

心配になり胸ポケットを

確認した。


『うん。大丈夫。

ジオの胸ポケットに守られた。

ありがとう』


キミはポケットの裾に

しがみついて難を逃れた。


こうして、二人は街へ向かった。