二人は街に向かって延びている

街道へと歩みだした。


街までそう遠くない。


その証拠に街の屋根や畑が

ちらほら見えている。


前方に畑仕事を終えたであろう

中年の少し小太りの男が

野菜を積んだ荷車をひいて

歩いているのも見える。


『豊作ね〜♪』


キミは荷車を見て言い、

ジオのポケットから飛び出した。


「おい!どこ行くんだ?」


突然飛び出したキミの背中に

声をかけるが小さな妖精の姿は

あっという間に見えなくなる。


しばらくすると紫色の

未確認飛行物体が

右へ左へ上へ下へと

なんとも頼りない飛行をし

こちらの方へ向かってきた。


キミである。


自分より大きな葡萄を

欲張って一房持って戻ってきた。


『ジオ、お待たせ』


息を切らしてキミは言う。


「お前、これどうしたんだよ?

どこから持ってきた?」


ジオは大体の答えの

予想がついており

呆れながら問う。


『……お腹すいちゃって。

えへ♪食べよう?』


「……しょうがないな。

盗みは絶対ダメだぞ。

次からはダメだ」


ジオは草むらに腰かけた。