「ミル……愛してる」


いつの間にか

眠ってしまっていたジオは

寝言で呟く。


ジオの声に気付き、

ジオの元へ蝶が飛んできて

彼の喉仏のあたりで着地した。


「ミル……ごめん……好きだ。

今でも好きなんだ」


ジオは寝言を呟き続ける。


『ねぇ、お兄さん!

ちょっと起きて!

キミの話をきいて』


妖精はジオの頬を叩いて

起こそうとする。


彼女は妖精のキミ。


恋する心を失った女の

精神や心の化身。


つまりは幻。


妖精キミは

一向に起きないジオを見て

宙へ浮き、近くに生えていた

猫じゃらしを抜く。


土vs妖精

妖精の勝利!


『よいしょっと!』


体を張っての土と根っことの

勝負に勝った彼女は

力の反動で宙を2、3回転し

ヨロヨロと目を回しながら

ジオの元へ向かう。


彼女は再び彼の喉仏に着地し

しっかり猫じゃらしを握り

ジオの鼻先へ向けた。