森をぬけると目の前には

花畑が広がっていた。


赤、ピンク、黄色……

色とりどりの花畑。


男は花畑を見て

昔の恋人……

今でも愛し続けている人の事を

思い出していた。



彼の名前はジオランダス。


勇気を失った男。


自分に自信をなくし

恋人の愛に向き合えなくなった

愚かな男だ。



ジオは花畑の中心に来て

ドサッと倒れこんだ。


(……ミル。お前に逢いたい。

……お前は今頃誰かと

幸せになっているだろう。

……オレの事なんて

とっくに忘れてるかもな)


ジオは仰向けになって

今日の澄んだ青い空を

遠い目で見つめた。


恋人と別れ、故郷を捨てて1年。


恋人を忘れるために

何人の女と付き合っただろう?

それでも彼は未だに癒されず

愛しい人を一時も

忘れられたことはなかった。


目をつむれば

昨日の事のように

恋人との楽しかった想い出が

鮮明に蘇る。