「パパ、ママお待たせ。

ねぇ、さっき突風が

吹かなかった?

……パパ!?ママ!?」


パパとママは石像になっていた。


―何が起きているの!?


「ちょっと!誰か来て!

パパとママが!」


いくら叫んでも誰もこない。


「なんで誰も来ないのよ!!

本当使えない!みんなクビよ!」


あたしは怒鳴り散らしながら

屋敷を歩きまわる。


「……!?……何よ…これ?」


メイド達も石になっていた。


あたしは今起きている現実に

どうしていいかわからず

しゃがみこんだ。


〝人を人とも思わないあなたは

いつかきっと一人になりますよ〟


あたしの態度に腹を立てて

辞めていったメイドの言葉。


痛いほど胸に突き刺さる。



―あたしに謝れっていうの?

冗談じゃないわ。



愛用のバイオリンと

ちょっとした旅荷物を持って

あたしは今、夜の中

あてもなく旅に出た。