「……そう。早速明日

仕立てていらっしゃい」


ママは少し難しい顔をした。


「ありがとう。

それでね、さっきパパが

帰ってくる前に

演奏会で弾く曲を作ったの!

二人ともあの美しい虹を

見たでしょ?

それを演奏するつもりだから

二人に聴いてほしいの。

タイトルは『虹の彼方』よ」


あたしは二人が

何か言い出さないように

早口で喋る。


「ヴァネッサまた今度……」


「楽譜とヴィラを

とってくるわね」


パパの言葉を遮り、席を立つ。


あたしは部屋に向かった。


あたしが部屋のドアをあけた

瞬間突風が吹いた。


……窓は開けてないはずよ?


あたしは気を取り直して

部屋に入った。


……あら?

楽譜が散らばってない。


……やっぱり窓も閉まってる。
さっきの風は何?


あたしは首を傾げながら

楽譜とバイオリンを持って

部屋を後にした。