「では、もう魔術師は

倒したんだな?」


国王は問う。


「はい。

もう悪い魔術師はいません」


その問いにハーヴァルドは

〝悪い魔術師〟を強調して言い

笑顔で答えた。


「父上。私はこの旅で色々な

事を学びました。

道中では毎日の食事の確保も

大変で、貧困を体感する事が

できました。仲間ができ、

そしてここにいるフランさんと

出逢い、恋をしました。

世の混乱が治まりましたら

結婚します。

父上、どうか認めてください」

ハーヴァルドは凛とした

表情で言った。


「け、結婚!?」


さすがにハーヴァルドの父は

驚いたが、嬉しそうに

誇らしげに話す息子の顔を

久しぶりに見て、亡き妻を

思い出した。


「混乱を鎮めるのを

手伝ってくれ。お前が選んだ人

なら間違いないはずだ。

結婚前にハーヴァルドは

王になるための勉強をして、

フランさんは王妃になるための

勉強をするように」


ハーヴァルドの父は二人を

祝福するように笑顔で言った。


二人は顔を見合せて喜び、


「ありがとうございます」


と頭を下げた。