キミはこっそりこのやりとりを

聞き、胸を撫で下ろした。


ジオといられる時間が増えたと

喜び、涙を拭った。


このままミルが

見付からなければとさえ

思ってしまい、

キミはこの胸の痛みの正体が

何なのか気付いた。


ドクンッ


キミの心臓が高鳴った。


走馬灯のように仲間たちとの

旅の思い出、人間だった時の

記憶が駆け巡り、別れの時が

来たのを悟った。



キミは胸ポケットから

飛び出した。


『ジオ』


いつものように笑顔をむける。

「キミ、ミルがいないんだ。

どうしよう?」


ジオは不安で勇気を

失い始めていた。


『ジオ、笑って。

情けない顔になってる』


キミは少し厳しく言う。


「せっかく勇気を

取り戻したのにダメだよな」


ジオは笑顔を作る。


『そう。その顔ね。ジオは

立派になったから大丈夫。

だけど、おまじないを

かけてあげる』


キミはにっこり笑って、

ジオの顔まで飛んで

唇にキスした。