「あれがシェリのいる

エンジェル島か」


ジオはハーヴァルドの城の

望遠鏡を覗いて言う。


共鳴者達はシェリのいる

エンジェル島にもっとも

近い国、ダビデズアイシティに

来ていた。


エンジェル島は

ダビデズアイシティの孤島で

小さな島に塔が一つだけ

たっている。


新婚カップルに人気の

観光名所で、塔に登って

愛を誓えば夫婦円満や

子宝に恵まれるなど

永遠に祝福されるという

言い伝えがある。


彼らは今、ハーヴァルドの

実家であるダビデズアイ城を

拠点とし、シェリを

どう説得するか考えていた。


「どうやって行くの?」


ヴァネッサは問う。


「通常ならエンジェル島まで

定期便があって1時間ほどで

着くのですが……。

僕達ではあんな観光船を

動かす事は不可能でしょう。

エンジェル島までは航路しか

ありませんから

手漕ぎボートで目指すしか

ないと思いますが、

そんな小さな船で

たどり着けるかわかりません」


この国の事にはもちろん

精通している王子は答える。