ジオに変化があったのは皆、

彼の表情を見て悟った。


ヴァネッサは自分の愛の鞭が

きいたのだと一人で

勘違いしていた。


それからのジオは生きて必ず

ミルに会って謝り

告白しなおす決意で

魔獣にも勇敢に立ち向かった。


ミルへの想いが

彼の心を支えていた。


時にはあの夜のことは

幻なのかもしれないと思って

しまうが、自分で思っていた

以上に恋人を愛し、

必要としていることが

わかったので決意が

揺らぐことはなかった。



朝、出発しようと各々

準備していた時だ。


「うわぁっと!」


馬に乗ろうとしていた

ハーヴァルドが

バランスを崩した。


ハーヴァルドの声に

ジオは様子を見に外へ出る。


「どうした?……あぁ」


ジオは馬具を持ち、ため息を

ついているハーヴァルドを見て

すぐに何が起こったのか悟った。


馬具のはみが錆びて割れ、

手綱と馬の頭にはめる革ひもの

接続がうまくいかず、

手綱をひくことが

出来なくなっていた。


「はみか」


ジオははみの壊れ具合を

確かめる。